息を飲む!いぶし銀アート@異臭寺
で、中に入りましょう。外面ははしご以外見るべきものは無くても中はスゴいかも…
って、クサっ‼
いやマジ、超臭え…。なんというか、例えるとミイラに詰めたであろう防腐剤&防臭剤の香草的な臭いがする(って、そんなもんあったのか知りませんが)。視覚より先にまず嗅覚をやられます。
いや、ミイラとか何とか失礼なこと言いましたが、日本風に言うと「お線香」の香りなんですよ。でもエルサレムのお線香、めっちゃ、中東風…それはそれはオリエンタルな異臭、じゃなくて、香りがします。
シダーウッドとかフランキンセンスとかイランイランとか、あの種の…アロマの中でもヤバいやつを原液のまま鼻に垂らされた感じです。
このがぐわしい寺ン中に入ると、まず目につくのが薄茶色の石板ですね。十字架で亡くなったイエスを十字架から降ろして埋葬の準備をした、と言われる「塗油の石」です。その昔はヴィア・ドロローサの第13留だったそうです。
これ、今もせっせと香油塗ってお手入れしているようで、そらもうめっちゃクサいです。熱心な方が頭つけたりキスしたりして跪いて祈ってるので、私もつられてうっかり触ったら…しばらく指から異臭が取れず(*_*;
イエスを十字架から降ろしてこの石の上で油を塗ったというのは十字軍時代から言われた伝承に過ぎず、加えて1810年にリニューアルされたものですので、わざわざクサい思いして触るほどのことはありません‼
石の前にでっかいモザイク画が飾られていて、そちらの方が見応えも見る価値もあります。
入口入って右手に2Fに通じる狭い階段がありまして、そこを上るとヴィア・ドロローサは11留~13留があります。イエスが十字架に架けられた、いわゆるゴルゴダの丘ですね。
映画や絵画だとハゲ山に十字架が3本立ってる荒涼としたイメージの「ゴルゴダの丘」ですが…
※wikipedia「Jean-Léon Gérôme」より引用。
https://en.wikipedia.org/wiki/Jean-L%C3%A9on_G%C3%A9r%C3%B4me
聖墳墓教会として生まれ変わった今は、とっても、ゴージャス!キャッチの写真にもある通りです‼
岩肌に全面的にびっしり細かい装飾が描かれていて、それはそれはキレイです。手抜きしている箇所が全くないですね。さすが、総本山です‼
ここ、ギリシャ正教とカトリックがわけわけして管理しており、それぞれに祭壇がしつらえられています。向かって右側がカトリックが管理しているエリアで、ヴィア・ドロローサは11留「イエスが十字架に掛けられたとこ」に該当します。
あらっ!かわい~♪
顔から直接翼が生えてるコレ、ケルビムっていうんですね。天使ちゃんにも階級(!)があって、2番目に来る子たちです。智天使とも呼ばれてて、エデンの園をお守りしていてくれてるんですよ。
もち、マリア様もいますよ!
ヴィア・ドロローサは13留で、11留のすぐ左側に鎮座しています。このキレイなお人形さんは、十字架の下でイエスの死を嘆いているマリアだそうです。1788年にリスボンより寄進されたのだとか。
表情は若くて敬虔な感じなのに、寄進されたジュエリーが凄すぎて、めっちゃ成金マダム感出してます。前歯に金の差し歯とか入れられないことを祈るのみ。
この祭壇はスターバト・マーテル、なんて呼ばれています。ラテン語で悲しみの聖母という意味だそうです。
カトリックの聖歌でも「スターバト・マーテル」という詞があって、ヴィヴァルディとかドヴォルザークとか、有名な作曲家さんが曲を提供しています。フランシスコ会の坊さんたちがヴィア・ドロローサを巡るときに歌ってるそうですが、誰作曲バージョンでしょうね。
私、二日連続で聖墳墓教会に来たのですが、このエリアはいずれももう人ひとヒト…別にクリスマスとかじゃない普通の日だったのですが皆様なにゆえ…
その目的は…じゃーん♪これですよん。
マリアの右側に、ギリシャ正教が管理するヴィア・ドロローサ第12留「イエスが十字架で死んだとこ」です。総本山にはメインとなるポイントが2つありますが、そのうちの一つですね。
あいやー、ゴージャスですねえ。
ギリシャ正教には総主教庁というまあ本部(?)に当たる場所が9か所あって、そのうちの一つ、エルサレム総主教庁は、まさしくここ、聖墳墓教会です。エルサレム総主教庁の母体は初期のキリスト教のエルサレム教会(!)とされていて、初代教父はイエスの弟君、ヤコブとされている、そうです。
そう考えるとこの気合の入り方も納得ですな。
でもこの祭壇、13留のカトリック管轄のマリア像に比べると、随分ぺたんこですね。東方正教会のイコンは、3次元にしたり遠近法やスフマートを使ってリアルな絵を描いたりするのはNGだそうで。
あまりリアルでにすると、絵や像そのものをうっかり拝んで偶像崇拝に走る危険があるから、とか。
イコンは恋人の写真みたいなもん、写真そのものを愛するのではなく写真を通して写真に写っているお方を愛する、みたいな説明が正教会ではなされています。要はグラビアかーいって思いましたが、昔の庶民は聖書なんて気軽に読めないですからね。まずはヴィジュアルから入りますよね。
岩?が透けて見えます。
これ、リアルゴルゴダの丘の岩で、イエス吊るした十字架が刺さっていた奴、と、されています。カルワリオの岩、とも呼ばれていますね。カルワリオはゴルゴダと同じ意味、要は頭蓋骨という意味です。
ゴルゴダの丘って、元々石灰岩の採掘場だったそうです。でもイエスの時代には廃坑になって墓に転用されたようで。
まあ、珍しいもの美しいものの連続ではああ…となりますが、ここでも視覚をフルに働かせて楽しむことは、出来ません。
襲ってくるんですよ、またもや嗅覚を直撃してくるアレが。
もくもくもくもくお香を焚いて、なにやら鈴やら銅鑼やらをじゃんじゃん鳴らしてお清め??に来る正教会の坊さん達です。しかも15分に一回位、まめまめしく。
えほ、えほ、えほ…
お写真撮るのは控えましたが、お召し物は細かい刺繍が入っていて、しかも一人一人違います。とても重厚でゴージャスです。
ザ・清貧のフランシスコ会の坊さんと比べると多種多様のデザインで目を楽しませてくれるのですが、異臭と人混みにやられて気分が悪くなってしまいました。おええ。
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