水汲んで荒野の中で証する
イスラエルなんて知らなきゃ興味も無いし一生行くことは無い大概の私達日本人でも、「マイムマイム」はご存知ですよね。これ実は、めっちゃイスラエル産です。
マイム、とはヘブライ語で水のことです。台湾ではまんま直訳な感じで「水舞」なんて呼ばれています。んで、あのお経のような歌詞にも意味があります。てか、本当にお経(旧約聖書)なんです。
”あなたたちは喜びのうちに救いの泉から水を汲む。”
旧約聖書 新共同訳 イザヤ書 12章3節
この部分をヘブライ語にして繰り返し唱えています。さて、どんな踊りでしたっけ…
ぉげ。テンション、高っ‼
こんなの踊ったら、喜びの内(ベッサンソン♪)に至る前に心臓発作確定です。それに、この千鳥足を複雑にしたような妙なステップ(ぶどうのつるというイスラエル独特のステップだそうです)について行ける気が全くしないです。思いっきり転んで輪全体を潰しそう(>_<)
さて、このマイムマイム。
フォークダンスになったのはごく最近、イスラエルが建国されてからですが、「あなたたちは喜びのうちに救いの泉から水を汲む。」という箇所は、紀元前からユダヤ教の三大祭りの一つ、「仮庵の祭り」でずっと歌われていました。
仮庵は、まあ、テントのことですかね。出エジプトの時、モーセに導かれたユダヤの民が40年間荒野で暮らしたこと、そしてその間も神がユダヤの民を養ってくれたおかげで荒野の中でも飢えと渇きから逃れたことを記念するお祭りです。
ユダヤ教徒の皆さんは、仮庵の祭りの期間中、ほんとに仮庵なるものを作ってそこで過ごす、とか。これ、日本でも大きな公園とかでよく見かけますねえ(違
※wikipedia「Sukkot」より引用。Yoninah氏による撮影。
この仮庵に籠って、水道電気ガスがない環境でも、神が人間を養ってくれれば生きていける⇒どんな環境であっても神が養ってくれなきゃ人間は生きていくことができない、ということを改めて覚えるのですね。
仮庵の祭りの最終日に「トーラー歓喜祭」が行われ、そこでこのマイムマイム、というか、イザヤ書12章3節が歌われます。ユダヤ教の祭司がギボンの泉から水を汲んできて、当時まだあった神殿に注ぎ、雨ごいをしたんだそうです。これまた、テンション高いですねぇ。
まあ、イスラエルに行くと水の有難さが分かります。キャッチの写真は「ユダの荒野」ですが(土が赤いのは言われてるようなユダの血ではなく酸化鉄です)、ほんと、こんな感じの景色が延々と続く…水が出る、ただそれだけのことが、神の存在を強く意識させる奇跡だったんだろうな、と思います。
あ、でも、流石に現在のイスラエルでは飲み水は普通にあるのですよ。ただ、、、洗う水がね⁉
まず、ウォシュレット。世界遺産的な観光スポットにすら、無いです。絶対ないです。加えておトイレ汚いです(実例挙げるのは自粛)。ちなみに便座が無くて中腰で用を足したことも、便座が汚くて中腰で用を足したことも、ざらにあります(-_-メ)
で、シャワー。水圧が不安定です。お湯が出なくて水シャワーとか(1月よ)、同じツアーの方がバスタブにお湯張ったら漏水して部屋中水浸しとか、水回りのプアさは酷いもんです。
でも、余り文句は言わないでおきましょう。イスラエル、今深刻な水不足に直面しています。ウォシュレットなんて、多分もったいなくて作れないんだろうな、と。
年間降水量は地域によって違うのですが、エルサレムでざっくり500ミリです。東京が1500ミリですから、日本の1/3しか雨降らないんですよ。そのただでさえ少ない水が、今、人口増やら灌漑農業やらで足りなくなっています。
イスラエルでホットな話題の一つがガリラヤ湖の水位です。イスラエルで必要とされる生活用水の3割程度を補っているガリラヤ湖、観測を開始した1930年代と比較すると5m近く水位が低下しています。
それは死海も然り。お約束の死海の泥使った化粧品メーカーの一つに「-417」があります。死海の海抜をそのままブランド名にしたんですが…設立当時の2003年には‐417mだった水位は今や‐433mだとか。下がり過ぎだろ…
余りに水位が下がるので、紅海から海水を入れるなんて試みもなされるみたいですが、それで水質が変わったらこうした化粧品メーカーは困るでしょうね。
ヨルダン川も然りです。ヘルモン山の露を集めてガリラヤ湖と死海を繋ぎ、イスラエルを縦断する水脈…というとすごく雄大な川のように思いますが、実際に見たら裏手のドブ川って感じですしね。
ほんとに、水が無いんだなあ、、、と思います。雨降りまくりであっという間に何でもカビる除菌大国日本とは対照的です。
動植物も、日本とは全て違います。日本では見ないものばかり、というのではないんです。日本に日常的にいるものが、イスラエルではどこか…少しずつ違うんです。
あらさくら…と思ったらアーモンドの花だったり。おしろい花が紫色だったり(ガリラヤ湖part1ご参照)。雀が、日本みたいに茶色と白の混紡じゃなくてチャコールグレー一色で、日本の冬のふくら雀に比べると大分スリムだったり。そしてなぜかカラスがツートンカラーです。
あとはそうですね、きつね…きつねもいます。
きつねの名はエルサレム症候群。パワースポットにあてられるのか、急に体に白いシーツを巻き付けて説教始めたり、知りもしないヘブライ語喋ったり、ヨハネになり切って洗礼始めたり、といった一過性の精神病、つまりは狐憑きですね。
年間100人位いるとのことで、3日に1人は発症する計算です。ベングリオン空港の職員はにわかメシアを見ると「あー、、、」って手慣れた様子で病院に連れていくのだそうです。少し放り込んでおけば良くなるとか。
日本のきつねは滅多にいない分祓うのに大金&時間がかかりますが、イスラエルのは頻発する分あっさりしていますね。
あ、でも、日本では絶対見ない!ものも当然あります。バスの中で延々と続く荒野を見ていたら、視界の片隅を何かがもここっ!と通りすぎました。なになに⁉と思ったら。
「あ、ベドウィンですね」
今やIT&軍事大国のイスラエルにも遊牧民っているんですね。住民票も無いのにどうやって生きてるんでしょう。まさか今日日ホントに神に養われている人がいるなんて、さすがイスラエルです( ゚д゚)
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