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執筆者の写真デボラ・デラックス

クムラン遺跡part1

神に届け!祈って清めて砂漠風呂

1947年にここでかの死海文書が発見されました。一神教業界(?)で20世紀最大のセンセーションを引き起こした大発見です。この面妖な遺跡、有名ですよねー。


ベドウィンの男の子(実際は青年だったという説も)が、羊追いかけている内に迷い込んだ洞窟の中に、壺にはいった大昔の文書があった、とかなんとか、もうもうおとぎ話みたいな話です。


死海文書とは、ユダヤ教のエッセネ派に属するクムラン教団が遺した文書です。内容的には旧約聖書、旧約聖書外典(聖書の正典としては認められなかったもの)、後は教団の規則や聖書の注解、世界の終末のイメージを記した戦いの書など、教団オリジナルの文書で占められています。


ユダヤ戦争の時、ローマ兵に文書を没収されるのを恐れた教団員が洞窟の中に隠した、という説が有力ですが、それの何がそんなに凄いかって。


それまで旧約聖書の最古の写本とされていたのは、930年頃作られたとするアレッポ写本でした。でも、この死海文書の発見によって「最古の写本」が1000年も遡っちゃいましたからね。しかも驚くべきことに、このアレッポ写本と死海文書は殆ど違いが無かったのです。


こーんな、超大昔。ひたすら手書きで保存するしかなかった筈のデータがきっちり受け継がれていたって素朴に凄いじゃないですか。今私達が読んでる聖書はアレッポ写本をベースにしているので、2000年前の文書をそうそう大きくは変えずに読めているってことですよ。


近隣の博物館で一部文書が公開されています。とっても、几帳面でキレイな字でした。

文書の作成時期はBC250年~AD70年、丁度新約時代の前後です。でも、キリスト教に関する記載はありません。新約聖書側も、、、ファリサイ派とかサドカイ派については色々かましてますけど、エッセネ派については沈黙を守ってますね。


このことから、イエスのエッセネ派出身説、ひいてはクムラン教団出身説…なんてのも、あります。


と、いっても私、個人的には、ファリサイ派やサドカイ派程の社会的影響力が無かったからイエスにスルーされただけじゃね?と思ってますw って本人に聞いたんかいって言われそうですけど、別にそうじゃ無いんですけど、でも、エッセネ派、メジャーになるにはちょっとキツいかもー。


なんでって、ま、理由は後述するとして。


まずは遺跡そのものを見てみましょうか。クムラン教団と言えば死海文書ですが、バカでかい本棚や人の目を惹きつける壮麗な祭壇があるかっつーと、無いんです。


遺跡ったってもう、見渡す限りの荒野、見渡す限りの砂漠です。地面はざりざりで(靴は一発でダメになりますのでご注意)、山林と田畑に囲まれた緑豊かな日本とは真逆です。


で、そんなところに遺跡って何があるのかと思いますか?いやもう、見渡す限り、風呂!ひたすら、風呂!風呂だらけ。10個もあるんですよ。掘ったらとりあえずお湯が沸く温泉大国日本でも、あり得ない光景です。

クムラン教団の面々、日がな一日お風呂入ってたんです。ご飯食べるっちゃお風呂に入って、トイレ行ったっちゃお風呂に入って、仕事終わったっちゃお風呂に入って、教団の後輩格に触られたっちゃお風呂に入って(酷、その他なんか心身が汚れたなと思っちゃお風呂に入ってましたです。


ちなみにこの風呂、正確にいえば洗礼槽、ミクバですが、ご丁寧に階段が二つあるものも。風呂に入るときの階段と、出ていく時の階段。要は、風呂に入った時点での汚れに触れないまま風呂から上がれるよう特別仕様になってるそうです…。


加えて、ミクバは溜まった水が汚れないように、源泉かけ流し状態をキープしていたとか。ああ是非、彼らにシャワーを作って差し上げたかった。


これだけ汚れに神経質なのですから、おトイレも一苦労。居住エリアの外に出て、スコップで30㎝位の穴を掘って、服で覆った状態で用を足し、排泄物は土の中に埋めなくてはいけなかった、とか。そして勿論、用を足した後は前述の通りお風呂です。


流石に当時、水洗トイレもウォシュレットも無かったようで。


こんなめっちゃ荒野ですが、ちゃんと水道が整備されています。馬鹿デカい水槽もあります。約60万ℓの貯水能力があって、200人位のメンバーとその家畜を8カ月分位支える量だそうです。


って、そんな水いったいどこから湧いてくるんだ⁉と頭をひねりますが、雨季になると集中豪雨が降ることがあって、その時の水を貯めていたみたいですね。後は、もっと水が豊かな北部から引いていた、なんて説も。


荒野の中に溝がいっぱいありますね。これ、水無川、ワジと言います。雨季に集中豪雨があると大量の水が流れるんです。こんな砂漠で一番多い死因は溺死!なんて笑えない話も…。その位凄いドカ雨が降るそうです。その希少なチャンスをしっかり活かしていたのですね。

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