市民異種、超絶一級&二級以下
聖都エルサレムに行くと、もみあげを羊のように伸ばして豊かな髭を蓄えた、真夏でも真冬でもシルクハットにフロックコートの黒ずくめの装束の方を頻繁にお見掛けします。
ユダヤ教徒は「超正統派」の皆さんですね。
こっちは物珍しいのでついつい見てしまうのですが、彼らと目が合うことはまずありません。空気のようにスルー。
イスラエルで東アジア系ってまずいないし、あんたらにとっても私は結構な珍獣でしょ?と思うのですが、ユダヤ教の戒律を厳格に守り性的なタブー意識を強く持つ彼らにとって「異邦人」「異教徒」「異性」は基本避けるべき存在です。
彼らは所謂「パリサイ人」の系列につながるとか。現代的な生活・価値観を否定し、世俗的な情報に繋がってしまうネット環境は避ける、まあ、アーミッシュですな。
男性は聖典を学ぶことをライフワークとし、就業率は50%程度。どうやって生計を立ててるかというと、一つは嫁の稼ぎですね。女性の就業率は男性より高く70%。女性は宗教的抽象的なことより世俗的具体的な事向きと見做されてるそうです。
あと、月10万円前後の補助金が政府から出ています。超正統派はユダヤ人のアイデンティティを守り、祈りによってイスラエルを守る祭司のような存在として優遇されており、軍事国家のイスラエルなのに軍役も免除です!
とはいえ、共稼ぎ+月10万もらってる割には彼らは基本貧乏…。避妊が戒律で禁止されているせいで平均6~7人位の子供がいるからです。
これがまた問題で…
働かず軍役にもつかず、補助金で血税を食いつぶしながら増え続ける彼らは今や「お荷物」扱い。現代的な価値観を持つ世俗派のユダヤ教徒とぶつかってしまうのです。
例えば。
安息日の土曜日に経営している、LGBT歓迎のカフェがあります。このカフェ、超正統派から非難されてデモを起こされるんです。そこで、女性店員たちは超正統派の男性の目の前で服をたくし上げてブラを見せ、性的なタブー意識を強く持つ彼らを追い払った、とか。
エルサレム女子、やるねえ。
なにしろ、ユダヤ教の戒律ではエレベーターのボタン押すことすら仕事になります!エレベーターのボタンに「シャバット(安息日の意味)コントロール」なる、各階停止機能を見つけた時にはのけぞりました。
土曜日は本当に各駅停車になっていらいらいらいらいらいらいらいら( `ー´)ノ
とはいえ、超正統派の中にも、本当は働いて家族を養いたい、と思っている方々はいます。価値観の違いをお互い尊重しつつ、上手いこと社会の中に組み込めるといいのですが。
と、思っておりましたら。宿泊していたホテルのレストランで、ん??長いもみあげ&髭の方がちゃきちゃき働いてました。しかも彼、黒ずくめじゃなくて普通にホテルの制服着てる…
帰国するとき、記念にホテルのイスラエル料理を電話に収めていたら、その彼が忌むべき異邦人異教徒異性の私のファインダーの中にひょいひょい入り込んできます。
「美味しかった?」「この料理全部俺が作ったんだ!」と、機嫌よく営業。
ま、まあ、一口に超正統派と言ってもいろんなのがいるわね…
当ブログは極力肖像権を尊重させて頂いておりますが、自分から勝手に入り込んできた方に関しては例外とさせて頂きます。
こちら、エルサレムゲートホテルのシェフ。ご飯とっても美味しかったです。ごちそうさまでした。
さて。
当ブログは「巡礼」ガイドブックなので、政治的なことに触れるつもりは一切無く…迷ったのですが、旅行中の素直な感想、ということで書かせて頂きます。断片的な事実しか知らない、素人のたわごとです。流して読んで下さい。
パレスチナ人の皆さんについてです。
旅行行く前は、彼らに対して結構同情的でした。人種的にも古代ユダヤ人により近いのは彼らだと思うと、応援したい気持ちもありました。
でも。実際にイスラエルに旅行に行ったら、すっかり彼らの事キライになってしまったんです(>_<)
理由、一つ目…っていうか、これが全てですが、マナーが悪い!お金に汚い!
以上、です。
1日だけ、ツアーを離れて個人でエルサレムの町を巡ったのですが、エルサレムは正直旅行しづらいです。バス便が発達しているのですが、バスマップが無い上路線が複雑。しかも乗り方が難しい…外国人には乗りこなせず、結局タクシー頼りになります。
その時、ユダヤ人のタクシーを使ったホテル⇔シオンの丘の料金と、パレスチナ人のタクシーを使った死海博物館⇔ホテルの料金がほぼ同額でした。死海博物館の方が全然距離近いのに変だと思ってガイドの方に聞いたら、あっさり倍額ぼったくられてる判定(-_-メ)
あと、イスラエルには悪名高いワンダラーおじさん、なるものがいます。
エリコはザアカイの木の所で、1ドルでパンフ売るよと声かけてくるおじさんがいました。1ドルなら買おうと思ったのですが、ガイドの方が異様に渋い顔してます。
なんかあるな、と察して断念。
聞くところによると、彼ら、パンフや絵葉書を1ドルで売りつけてこちらがお財布を出した途端、お仲間が来て連携プレーで財布を盗むのだそうです( ゚д゚)
あと、ロマンチックな恋町ベツレヘム@パレスチナ自治区(【コラム】<潜在的>女子力ご参照)でも残念なことが…。ツアーの皆さんと記念写真撮ってたら、小学生位の男の子がワーッと寄ってきて一緒にパチリ。笑顔でお愛想振りまくんで可愛い♡と思ったら、、、
ガムを1枚差し出して、「ワンダラーワンダラー」。
がっくり来ちゃいましたね。
子供を使うかなあ…と。
申し訳ありませんが、私の脳内では、パレスチナ人=チンピラ&レベル低っ!の公式ができてしまいました。
でも、ですね。ここからが本題です。てか、ここだけが本題かも。
その後、帰国から数か月してあるDVDを見ました。タイトルは「オマールの壁」。パレスチナ人監督がパレスチナ自治区での実情を描いた、とされる映画です。
この映画について、安易な感想を述べることは避けたいと思います。
ただ、レベルの低いチンピラだと思ったパレスチナ人監督の映画のクオリティに圧倒されたこと、そして、息を詰めて見入る程面白かった、ということだけ、お伝えしておきます。
パレスチナ人はイスラエル国内では「二級市民」扱いです。常に見下され、常に監視され、仲間との関係も常に分断され続け、信頼関係を築くことも許されない…そうした環境の中で人間らしい尊厳を保つこと、前向きでいること、それがどれだけ難しいことか。この映画を見て改めて思い出したんです。
人間は悲しいことに、周囲からずっと軽んじられ差別をされ続けると、いつの間にかそれが内面化されて自分で自分を軽んじて差別をするようになってしまう…そういうことだなあと。
どうしたもんですかね。どうしたらいいんでしょうかね。そう、そうですね…何だかふざけてるみたいですが、まずは祈ろう、と思いました。祈るしかないなあ、と。
パレスチナの皆さんが、自分自身であり続けることができるよう、お祈りしたいと思います。
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